他疾患との関連

他疾患との関連

高血圧症

日本の高血圧患者は現在4300万人と言われていますが、その20-30%は高尿酸血症を合併していることが明らかになっています。

 

近年、高尿酸血症が男女を問わず、高血圧症の大きな危険因子(リスクファクター)であることが示されました。さらに治療によって尿酸値を下げると、若年者の血圧高値群の血圧が低下することが明らかになり、尿酸上昇は高血圧発症のリスクであると考えられています。

 

従来の高血圧の結果としての高尿酸血症という考え方から、高尿酸血症が原因となって高血圧をきたすという考え方にパラダイムシフトが起きています。高血圧を指摘された場合は、尿酸値の適切なコントロールが極めて重要になります。

 

健診や人間ドックで高尿酸血症を指摘された人は、将来的に高血圧症を発症するリスクがあるため、タイミングを考えて高尿酸血症の治療を開始することが望ましいと考えます。

心不全・心房細動

高尿酸血症患者は、血清尿酸値正常者と比べて心血管系疾患の合併率が高いことは以前より知られていました。高尿酸血症は心不全に合併しやすいという報告もあります。

 

心不全患者さんの予後と血清尿酸値との関連を調べた研究では、血清尿酸値が10mg/dLを超える心不全患者さんでは、10mg/dL未満の患者さんよりも予後が不良であることが報告されました。

 

また、複数の疫学調査から、血清尿酸値は心房細動の独立した危険因子(リスクファクター)とも考えられています。

 

心房細動と高尿酸血症との関連については、2010年頃から多数の報告が発表されており、高尿酸血症は心房細動発症の独立した危険因子である、あるいは予測因子である、という指摘があります。心房細動では左房内に形成された血栓による脳梗塞が大きなリスクとなりますが、高尿酸血症は左房内血栓の独立した危険因子となることも多数報告されています。

 

尿酸値のコントロールは、心不全や心房細動の患者さんにおいても重要であることがわかります。

慢性腎臓病(CKD)

今日では、高尿酸血症が腎機能の影響を及ぼし、慢性腎臓病(CKD)の進展や発症の危険因子となっている可能性が指摘されています。

 

慢性腎臓病(CKD)は、早期発見と治療が原則です。

 

日本の痛風患者数は約90万人、高尿酸血症患者数は約500万人、慢性腎臓病(CKD)患者数は約1330万人と推定されています。慢性腎臓病(CKD)は心血管障害のリスクであり、高尿酸血症は慢性腎臓病(CKD)の危険因子の一つです。

 

慢性腎臓病(CKD)では、加齢に伴って糸球体濾過量(GFR)が低下しますが、ステージ3aまでであり、さらに悪くなっている場合には何らかの基礎疾患の存在が疑われます。糸球体濾過量(GFR)とは腎臓の機能を表す指標です。

 

糖尿病、高血圧、高齢者の原因不明と分類されている透析患者さんには、高尿酸血症合併例が多数含まれています。高尿酸血症が腎障害を惹起する、または腎障害を促進するという研究結果も多く報告されています。

 

健常者グループにおいて高尿酸血症が慢性腎臓病(CKD)の独立因子であることは確立されつつあります。同様に慢性腎臓病(CKD)の患者に対して、高尿酸血症が腎障害を悪化させるとの報告もあります。しかし、ある研究においては、正常範囲である血清尿酸値7.0mg/dL以下の範囲でも血清尿酸値が高いほど、末期腎不全のリスクは高くなっています。

 

慢性腎臓病(CKD)に伴う高尿酸血症も、高血圧に伴う高尿酸血症でも、ひとつの要因として尿酸の排泄低下が考えられます。尿酸排泄促進薬では腎機能の低下に伴い、尿酸排泄促進効果が減弱しますので、効果が十分に発揮されません。

 

高尿酸血症に対して従来使用されてきたアロプリノールは、腎機能低下症例では薬剤の効果が低下し、重大な副作用をきたす可能性があります。約40年ぶりに2つの新しい薬剤(フェブリク®とトピロリック®)が承認され、慢性腎臓病(CKD)の進展阻止効果が期待されています。


この2つの薬剤登場によって慢性腎臓病(CKD)の臨床現場では劇的な変化が起きているとのことです。具体的には、腎機能保持効果やアルブミン尿軽減効果が期待されています。
治療についての詳細は【高尿酸血症の治療】もご覧下さい。

その他

神経疾患と血清尿酸値の関係では、血清尿酸値が高い方が神経疾患を発症しにくい、または進行が遅いとの報告があり、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症などの神経疾患では血清尿酸値の低値が発症や進行速度などとの関係があることも報告されました。


例えば、血清尿酸値が高いとパーキンソン病発症率は有意に低く、痛風患者さんではパーキンソン病のリスクが低いことが示されており、多発性硬化症患者さんの血清尿酸値は健常者よりも有意に低く、活動期の血清尿酸値は非活動期より低値であることが報告されています。


尿酸の抗酸化物質としての生理活性が関与している可能性が考えられます。
 

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