B型肝炎ウイルス(HBV)の再活性化

B型肝炎ウイルス(HBV)の再活性化

癌などの悪性疾患に対する化学療法や分子標的治療などの最先端治療により、B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアの再活性化や感染既往者のde novo B型肝炎による死亡例が大きな問題になっています。

 

一旦B型肝炎ウイルス(HBV)に感染すると、血清中のHBV-DNAが消失しても、肝臓組織中にはHBV-DNAが残存していることが明らかになっています。

 

このようなB型肝炎ウイルス(HBV)感染既往者が他の疾患で分子標的治療薬やTNF-α阻害薬などを使用すると、その約10%にB型肝炎ウイルス(HBV)の再活性化が生じて重篤な肝炎を発症します。

 

このようにHBs抗原陰性、HBs抗体陽性の場合に肝炎が起きる可能性があることが明らかになってきました。

 

B型肝炎ウイルス(HBV)感染患者において、免疫抑制・化学療法によりB型肝炎ウイルス(HBV)が再増殖することをB型肝炎ウイルス(HBV)再活性化といいます。

 

B型肝炎ウイルス(HBV)再活性化は、キャリアからの再活性化と既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体またはHBs抗原陽性かつHBs抗体陽性)からの再活性化に分類され、このうち既往感染者の再活性化による肝炎をde novo肝炎といいます。

 

B型肝炎ウイルス(HBV)再活性化による肝炎は重症化しやすいだけでなく、肝炎の発症により原疾患の治療を困難にするため、発症そのものを阻止することが最も重要です。

 

また、de novo肝炎から乳幼児への水平感染を起こす可能性もあります。

 

de novo肝炎は、一度肝炎が治癒した状態(HBs抗原消失かつHBs抗体陽性)からウイルスが再増殖する病態であり、あたかも急性肝炎が新たに発症したようにみえます。

 

これはB型肝炎に特徴的な現象であり、ユニバーサル・ワクチネーション(UV)が進んできた現在では、継続的に監視すべき事柄の一つになっています。

 

少し専門的に言うと、HBs抗原が消失し、HBs抗体が陽性になっても肝臓内では感染性のあるウイルスが存在していることがわかってきました。

 

そこで現在では、肝臓組織内において感染性のあるウイルスの増殖が持続的に抑制されるか、あるいは細胞性免疫を中心とするウイルス特異的な免疫応答によりウイルス増殖が抑制されている状態を「治癒」と考えるようになりました。この細胞性免疫が低下するとB型肝炎ウイルス(HBV)が増殖して再活性化が起こります。

 

B型肝炎ウイルス(HBV)再活性化のリスクは主にウイルスの感染状態と免疫抑制の程度に規定され、慢性活動性肝炎、非活動性キャリア、既往感染者の順に高くなります。

 

B型肝炎治療ガイドラインでは、B型肝炎ウイルス(HBV)再活性化のリスクを有する免疫抑制・化学療法を行う全ての患者さんに対して治療前にB型肝炎ウイルス(HBV)感染をスクリーニングすること、およびB型肝炎ウイルス(HBV)感染のスクリーニングはHBs抗原、HBc抗体、HBs抗体検査、HBV-DNA定量検査を感度の高い方法で系統的に実施するように求めています。

 

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