貧血とは?
貧血は臨床の現場においては最も多く認められる疾患のひとつです。
重篤な血液疾患の可能性もあるので、速やかな診断が必要になる場合もあります。
貧血とは、赤血球に結びつく酸素量が、体が必要としている酸素の必要量に対して不足している状態です。
具体的には、血液中の赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値の低下を指します。
最初にヘモグロビン濃度に注目します。
ヘモグロビン濃度正常値の目安は
- 小児および妊婦 11g/dL以上
- 思春期および成人女性 12g/dL以上
- 成人男性 13g/dL以上
WHOガイドラインでは、ヘモグロビンが以下の数値になると貧血であると定義しています。
- 妊婦 11.0g/dL未満
- 非妊娠の女性 12.0g/dL未満
- 成人男性 13.0g/dL未満
高齢者においては約8.5%、85歳以上では約20%に貧血を認めます。
高齢者の貧血では、悪性腫瘍、感染症、膠原病などの重大な疾患が存在していることが多いため、健診などで軽度の貧血を指摘されたが症状が無いという場合でも定期的な検査が必要です。
鉄やビタミンB12などの栄養素不足によって生じる貧血は最も多く、日本人女性の約10%は鉄欠乏性貧血とされています。
亜鉛や銅などの微量元素不足による貧血も存在します。
貧血の原因は大きく分けて次の3つに分類されます。
- 出血(例:外傷、消化管出血、女性の性器出血)
- 骨髄での赤血球の産生低下
- 赤血球破壊の亢進
詳細は【貧血の分類と診断】で述べていますので、ご参照下さい。