ビタミンCの抗酸化作用
抗酸化物質であるビタミンCの特徴について、もう少し詳しく述べます。
生体では、発生した活性酸素・フリーラジカルを消去するために、抗酸化物質であるビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、リポ酸、グルタチオンの5種が共同して作用し、強力な相乗効果を発揮しています。これらを「ネットワーク系抗酸化物質」といいます。
ネットワーク系抗酸化物質には他にはない特別な作用があり、フリーラジカルを消滅させた後に相互に再生しあうことが可能とされています。
ビタミンCは活性酸素・フリーラジカルと反応してその毒性を弱め、自身は反応性の低いフリーラジカル(酸化型)になりますが、これらもビタミンCやリポ酸によってもとの還元型抗酸化物質に再生されることが知られています。
「ネットワーク系抗酸化物質」は互いに相乗効果を示しますが、各抗酸化物質はそれぞれ特有の細胞内局在を有しています。つまり、それぞれ細胞内のどこにいるかが決まっています。
細胞膜は主に脂質で構成されているため、脂溶性のビタミンEやコエンザイムQ10は細胞膜の脂質を活性酸素・フリーラジカルから保護しますが、水溶性である細胞内や血漿中では作用することができません。
このような水溶性の場所では主に水溶性抗酸化物質であるビタミンCやグルタチオンが作用します。
リポ酸は水溶性にも脂溶性にも存在が可能であり、両方の場所で抗酸化物質として作用するだけではなく、水溶性抗酸化物質(ビタミンCとグルタチオン)と脂溶性抗酸化物質(ビタミンE)の両者を再生できる特徴があります。
こうした「抗酸化ネットワーク」とは、発生した活性酸素・フリーラジカルを生体内で消去するために、抗酸化物質であるビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、リポ酸、グルタチオンの5種が共同して作用し、強力な相乗効果を発揮することから命名されたものです。
少し話がそれますが、細胞膜を酸化障害から保護するためにはビタミンEがきわめて重要な役割を果たしています。生体膜ではこのビタミンEを再利用するための巧みな機構が備わっています。
ビタミンEラジカルをビタミンEに再生(還元)するために、抗酸化ネットワークが働き、ビタミンC、グルタチオン、リポ酸が作用しているのです。