高尿酸血症の治療

高尿酸血症の治療

高尿酸血症・痛風の治療目的は、まず痛風(痛風関節炎)の発症を防ぐことです。さらに、高尿酸血症の合併症である腎障害(痛風腎)、尿路結石を発症・進展させないことなどがより重要と考えています。

また、高尿酸血症・痛風には、高血圧、脂質異常症、耐糖能異常、糖尿病、肥満などの生活習慣病が高い確率で合併し、このような合併症が虚血性心疾患や脳血管障害の発症率を高くしていると考えています。

血清尿酸値のコントロールだけでなく、生活習慣病に対しても十分に配慮しています。高尿酸血症・痛風の発症をきっかけに、生活習慣病のチェックを行うことを患者さんに勧めています。

高尿酸血症がある人は、不規則な食習慣、飲酒、運動不足、睡眠障害、ストレス、プリン体の摂取過剰、など生活習慣に問題があることが多く、薬物治療の開始前および治療中も生活に対するアドバイスが必要です。

当院でも食品のプリン体含有量(100gあたり)を参考にして食材の選択について説明しています。食事に関しての詳細は別の項目もご覧下さい。

【食事療法など生活におけるアドバイス】はこちら→

高尿酸血症・痛風の治療においては、有効性と安全性のバランスを考慮した治療戦略を立てています。

治療の目標値でも述べたように、痛風を伴う高尿酸血症では「尿酸値6.omg/dL以下」が目標です。また、様々な研究結果より、痛風がなくても持続する高尿酸血症(無症候性高尿酸血症)は改善すべきであると考えられています。

日本のガイドラインでは、「血清尿酸値が9.0mg/dL以上」および「8.0-8.9mg/dLで、高血圧、脂質異常、糖尿病、虚血性心疾患、メタボリックシンドロームなどの合併症がある場合」は薬物治療を開始することをおすすめしています。

具体的には、食事および生活習慣の改善が十分ではなく、8.0mg/dL以上の高尿酸血症が持続する場合には、尿酸生成抑制薬を少量で開始して、尿酸値および血圧・腎機能などをモニターしながら、1-2か月後にお薬の量を調整します。

高尿酸血症・痛風の治療薬は、高尿酸血症に対する尿酸降下薬(尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬)と、痛風(痛風関節炎)に対する痛みや炎症を抑えるための非ステロイド性消炎鎮痛薬(以下NSAIDsとします)、コルヒチン、ステロイドに分けらます。

痛風(痛風関節炎)を繰り返す患者さんや痛風結節を認める患者さんには、血清尿酸値に関わらず薬物治療を開始します。過去に尿路結石を認めたことがある患者さんや尿路結石を持っている患者さんには尿酸生成抑制薬を処方します。

痛風(痛風関節炎)に対する治療については別の項目で詳しく述べます。

【痛風の治療】はこちら→

尿酸降下薬には尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬があります。

前述したように高尿酸血症はその成因によって尿酸産生過剰型と尿酸排泄低下型に大別されますが、前者には尿酸生成抑制薬であるアロプリノール(ザイロリック®、アロシトール®など)、フェブキソスタット(フェブリク®)、トピロキソスタット(トピロリック®)を、後者には尿酸排泄促進薬であるベンズブロマロン(ユリノーム®)、プロベネシド、ブコロームを使用します。

(高尿酸血症の治療方針を図1に示す。ガイドラインのP230を参照すること)
 

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