食事療法など生活におけるアドバイス

食事療法など生活におけるアドバイス

痛風高尿酸血症・痛風は代表的な生活習慣病であることから、生活習慣の是正を目的とした生活におけるアドバイスを行っています。

 

ポイントとしては、肥満の解消、食事療法(摂取エネルギーの適正化、プリン体・果糖の摂取制限、尿をアルカリ化する食品の摂取、十分な飲水)、飲酒制限、運動の推奨、が中心となります。

肥満の解消

血清尿酸値はボディマス指数(BMI)が大きいほど高くなることが知られています。

 

肥満を解消すると血清尿酸値の低下が期待されるので、自分の標準体重(BMI 22.0)をいつも意識して、太りすぎないようにしましょう。BMI 25.0未満が目安です。

食事療法

食事療法のポイントは、適正なエネルギー摂取、プリン体・果糖の摂取制限、十分な飲水、尿をアルカリ化する食品の摂取です。

 

適正なエネルギー量は、「標準体重に身体活動量をかける計算」で求めます。

 

「軽い労作(例えばデスクワークが多いなど)」の身体活動であれば、身体活動量として25-30kcal/kgをかけます。
「立ち仕事の多い通常の労作」では30-35kcal/kgをかけます。
「力仕事が多い重い労作」では35kcal/kg以上をかけます。

 

例えば、デスクワークで身長が180cmの場合、標準体重は71.3kgであり、これに25-30kcal/kgをかけると、適正エネルギー量は1780-2140kcal/日となります。

 

食べ過ぎずに腹八分目と考えればよいでしょう。少し具体的に言えば、野菜を中心にいろいろな食材を使った食事を1日3回とします。そのうち2回は「主食+主菜+副菜」のような食事、あとの1回は豆腐・納豆、または卵を使った食事にすれば、1日のプリン体摂取量が約400mgとなり、高尿酸血症改善に適した食事となります。

 

定食のような主食+主菜+副菜(一汁二菜または一汁三菜)はバランスの良い食事です。

 

また尿酸値を下げる食品を積極的に摂ることも勧めています。

 

以下、高尿酸血症・痛風の食事療法について、項目別にポイントをまとめましたのでご覧ください。

(1) プリン体

高尿酸血症・痛風と言えば、まず「プリン体」という言葉が浮んできます。

プリン体や果糖を摂り過ぎると高尿酸血症・痛風のリスクが上がります。

 

そのため、高尿酸血症・痛風におけるプリン体摂取の注意点は、「高プリン食を極力控えて1日のプリン体の摂取量が400mgを超えないこと」です。

 

一般に「食品100gあたりプリン体を200mg以上含むもの」を「高プリン食」と呼び、例として動物の内臓、魚の干物、乾物などが挙げられます。

 

プリン体は、穀類、野菜、海藻、乳製品、卵、キノコ、果物にはあまり含まれていません(1回量50mg以下)。

 

植物性タンパク質を含む豆類も少なめです。

 

主菜として使われる肉や魚はプリン体を中程度(100-200mg/100g)含むものがほとんどですが、良質のタンパク質を含むので、多すぎないように摂取するのが良いでしょう。

 

次の表に挙げたプリン体を多く含む食品(レバー類、魚の白子)は少なめに(1回で30g程度まで)摂取します。

表:プリン体の多い食品

食品100g当たりに含まれるプリン体の量
極めて多い
(300mg~)
鶏肉(レバー)、干物(マイワシ)、白子(イサキ、タラ、フグ)、アンコウ(肝酒蒸し)、
一部の健康食品(DNA/RNA、ビール酵母、クロレラ、ロイヤルゼリー)
多い
(200mg~300mg)
ブタ肉(レバー)、牛肉(レバー)、カツオ、マイワシ、大正エビ、干物(マアジ、サンマ)

 

繰り返しますになりますが、「1日プリン体摂取量は400mg」が目安です。

 

プリン体を多く含む食品は少なめに摂取してください。

 

特に、干物や乾燥品は、水分が蒸発してプリン体が濃縮されているため高くなっていますので注意してください。

 

一部の健康食品には多量のプリン体が含まれていて、1日分の服用量で200mg以上になるものもあるので、高尿酸血症・痛風の人はこのような健康食品はできるだけ避けるようにしてください。

 

また、プリン体は水溶性のものが多いので、調理法として食材を茹でるとプリン体が減少しますので覚えておいてください。

(2) 果糖

果糖を多く摂取すると血清尿酸値が上昇し、痛風のリスクが上昇することや、メタボリックシンドロームの有病率の増加、尿路結石の形成促進が報告されています。

 

高尿酸血症では果糖やショ糖の過剰摂取は避けるようにしてください。

 

尿酸を排泄させるために十分な飲水が必要ですが、清涼飲料水やジュースには果糖が多く含まれるので、お茶や水が勧められます。

 

一方、果物の摂取は痛風のリスクを上げないことが疫学調査で分かっています。

(3) 塩分

6g/日未満の食塩摂取高尿酸血症では高血圧や慢性腎臓病の合併が多いことが知られています。これらの予防のためには減塩が必要です。高血圧や慢性腎臓病を合併した患者さんには、6g/日未満の食塩摂取が勧められています。

(4) 食物繊維

動物実験ですが、食物繊維が血清尿酸値を下げることが報告されています。

 

食物繊維を含む食材としては、野菜やキノコ、海藻類が挙げられます。いずれもプリン体含有量の少ない食材です。「第二次健康日本21」で推奨されている1日350g以上の野菜の摂取が勧められます。

(5) 尿酸値を下げる食品

尿酸値を下げる傾向のある食品として、ビタミンC、ポリフェノール、フラボノイド、乳製品等があります。これらの成分が尿酸の排泄を促進するために、血清尿酸値が低下します。

 

食物繊維はプリン体の吸収を抑制して便からの排泄を増やすため、血清尿酸値が低下します。これらの食品を献立に取り入れることをおすすめしています。

飲酒制限

高尿酸血症・痛風の患者さんは、飲酒を好む傾向があります。

 

ビールには少なからずプリン体が含まれているので、飲み過ぎないように注意が必要してください。
疫学調査でも、アルコール飲料、特にビールを飲む量が多い人ほど血清尿酸値が高くなることがわかっています。

 

アルコールは血清尿酸値を上げるので、適量を飲むようにして休肝日をとるようにしてください。適量とは、1日にアルコール20-25g程度です。具体的には、ビール中ビン1本500ml、日本酒1合、ワイン1グラス、ウイスキーダブル1杯、焼酎90ml程度、のいずれかとなります。

 

1日にビールを平均1缶(350ml)を飲む人は、全く飲まない人に比べて血清尿酸値が1.0mg/dL近く高いことがわかっています。

 

また、ウイスキーや焼酎などの蒸留酒でも1日に1グラス(約40ml)飲む人は、全く飲まない人に比べて血清尿酸値が0.5mg/dL程度高いことが報告されています。逆に、同じ報告でワイン1グラスでは尿酸値の上昇は認められませんでした。

 

運動

運動は、高尿酸血症・痛風だけでなく、生活習慣病を改善するためにもお勧めします。
運動不足は、喫煙、高血圧に続く3番目の死亡危険因子です。

 

「第2次健康日本21」では、家事や通勤などの生活活動とスポーツなどの運動を合わせて「身体活動量」とし、それを増やすように勧めています。

 

勧められている運動は、歩数として、男性で9000歩/日、女性で8000歩/日が目安です。

 

10分が約1000歩に相当するので、18-64歳では、毎日60分の歩行またはそれと同等以上の運動をします、さらに週に1回程度(60分)、息がはずみ、汗をかく程度の運動をするのが良いでしょう。

尿のアルカリ化

高尿酸血症による腎障害や尿路結石を防ぐためには、尿路管理が重要となります。

低プリン食と尿酸生成抑制薬(アロプリノール、フェブリク®、トピロリック®)を用いた高尿酸血症対策に加えて、尿量の確保と「尿のアルカリ化」が必要になります。

実際には1日尿量を2リットル以上に保つことが理想的です。

尿酸の溶解度は「酸性の尿」で低下し、逆に「アルカリ性の尿」では上昇することから、尿酸結石を防ぐためには「尿のアルカリ化」がポイントになります。

食事療法による尿をアルカリ化(野菜や海藻などの尿をアルカリ化する食品の摂取、タンパク質をとりすぎないようにする)に加えて、必要に応じて重曹やクエン酸などの尿アルカリ化薬を用います。

しかしながら、尿をアルカリ化し過ぎるとカルシウムの溶解度が低下して、カルシウム結石のリスクが増えるため、尿pHはpH6.0~7.0が適しているとされています。
 

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