LDLコレステロールの治療方針についてお知らせします
以下、箇条書きでポイントをお示しします。
・職場健診や人間ドックの検査で「動脈硬化のリスク因子であるLDLコレステロールが高値です」「再検査もしくは精密検査を受けて下さい」「治療が必要ですので医療機関を受診してください」と指摘される方が多いかと思います。
・脂質異常症(LDLコレステロール高値)は生活習慣病とされています。
・脂質異常症(LDLコレステロール高値)は自覚症状がないので、ご本人が意識しなければ、なかなか受診するまでにいたらないのが実情です。
・「LDLコレステロールが高値である」ことのリスクは、動脈硬化が進行する可能性があるという点です。すなわち、将来的に、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞といった心血管疾患を引き起こすリスクがあるという点に尽きます。
・LDLコレステロールを下げるということは、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞を予防することにつながっていきます。この予防こそが治療の目的です。
・LDLコレステロールが高値になる要因としては以下の通りです。
・遺伝性
・生活習慣(食事量、食事内容、運動)
・肥満(体重増加)
・当院における問診では次のような方が多いです。
・定期的に運動している(歩く→歩数をお聞きしています、走る、ジムに行く、筋トレする、ゴルフに行く(ラウンド)、ゴルフの練習に行く、犬の散歩に行く、野球、ソフトボール、サッカー、フットサル、テニス、バドミントン、プールに行く、山に登る、マラソン、トレイル、自転車に乗る、ヨガ、乗馬、加圧トレーニング、バレエ、など)
・定期的に運動していない。
・食事を意識している。(自宅でとる、外食をひかえている、揚げ物をひかえている、食事量や内容を意識している)
・食事は意識していない。外食が多い。
・体重を測定している。
・自宅では体重を測定していない(自分の体重がわからない)
・定期的に健診や人間ドックで検査を受けている(年1回が多い)
・検査はあまり受けていない。
・家族にLDLコレステロールが高い人がいる。薬物治療を受けている。
・家族のことは聞いていないのでわからない。
・女性の方の場合、閉経前後(女性ホルモン低下)でLDLコレステロールが上がってきた。(個人差があると思われます)
・糖尿病がある。治療を受けている。
・高血圧症がある。治療を受けている。
・高尿酸血症(痛風)がある。治療を受けている。
・喫煙している。
・以上をふまえて、当院ではLDLコレステロールが高値の場合(具体的にはLDLコレステロール:140~180mg/dl以上の場合)の治療方針を設定しています。ポイントは以下の通りです。
・治療方針については、初診時にできるだけわかりやすく説明しています。
・薬物治療を始めるかどうかは、患者さんとよく相談してから決めています。
・当院では、すぐに薬物治療を始めることはありません。薬剤を処方すればいい、ということでもないので、ご本人の納得と理解が必要であり、前提としています。
・ただし、「LDLコレステロールが高値であることが不安で、すぐにでも薬物治療を始めたい」という患者さんも来院されます。その場合は、検査と説明を行ったうえで早期に薬物治療を始めています。
・問診にて、食事、飲酒、体重、運動、検査歴、などを確認します。
・過去のデータ(健診やドックなど)があれば、持参していただきます。
・20~30代からLDLコレステロールが高値なのかどうかを確認します。これは検査を受けたことがない方もいらっしゃるので個人の事情によります。検査で異常を指摘された記憶がある方は診察時に教えて下さい。
・胸部症状の有無を確認します。「胸が痛い」「胸に違和感がある」「胸がしめつけられるような感じがする」などです。これらは狭心症や心筋梗塞を疑う症状です。発生頻度と症状の持続時間を確認して、薬物治療を始める場合があります。症状の程度によっては、心臓の専門である循環器内科(桜橋渡辺病院が多いです)に紹介しています。
・脂質異常症(LDLコレステロール高値)以外の生活習慣病(糖尿病、高血圧症、高尿酸血症・痛風など)を合併している場合は、薬物治療を始めるケースが多くなります。
・ご家族がLDLコレステロール高値で薬物治療を受けている、もしくは、ご家族に狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などを発症された方がいらっしゃるという患者さんには薬物治療をすすめるケースが多くなります。
・頸動脈エコー検査を行って、動脈硬化の有無を確認します(年1回程度:所要時間は5~10分)。
・生活習慣の改善に取り組んでLDLコレステロールを下げたいという患者さんも、もちろんいらっしゃいます。そのケースでは、薬物治療を行わずに年3~4回の定期的な血液検査を提案しています。
LDLコレステロール高値を指摘されて、受診するかどうか迷っている方がいらっしゃいましたら、ぜひ当院にご来院ください。