25. 脂質異常症:治療 その3
・ 前回の続きです。
・ 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬は、小腸からコレステロールが吸収されるのを抑制する働きがあります。スタチンに追加併用することが最も多い薬剤です。スタチンとの配合剤もあります。LDLコレステロール値を下げる作用に加え、HDLコレステロール値を上げる作用もあります。
・ フィブラート系薬および選択性PPARαモジュレーターは、 主に中性脂肪値を下げるために使われます。 肝臓で中性脂肪が合成されるのを抑制する作用があります。さらに、血液中の中性脂肪の分解を促進します。
・ この2剤以外にも、中性脂肪値を下げるためにn-3系多価不飽和脂肪酸といった薬剤も用いられます。
・ ニコチン酸誘導体やプロブコールは、当院ではほとんど処方していません。
・ 陰イオン交換樹脂は腸内で胆汁酸を吸着して排泄を促します。小腸に排泄された胆汁酸に含まれるコレステロールは、一部が小腸で再吸収されて肝臓に戻ります。コレステロールの再吸収が妨げられることで、LDLコレステロール値が下がります。
・ PCSK9阻害薬は、LDL受容体を分解するタンパク質(PCSK9)の働きを阻害することでLDLコレステロール値を強力に下げます。家族性高コレステロール血症や動脈硬化性疾患のリスクが高く、スタチンの服用で効果が不十分である場合などに用いられます。
・ 続きます。