健診でAST(GOT)やALT(GPT)が高いと指摘された場合:その1
・ 健康診断や人間ドックでAST(GOT)やALT(GPT)が高いと指摘された場合、まずは内科、または当院のような消化器内科・肝臓内科を受診することをおすすめします。
・ 基準値は、AST:30以下 ALT:30以下です。
・ AST(GOT)とALT(GPT)は肝臓の機能を調べるための代表的な検査項目です。法廷健診の必須項目であり、必ず測定されます。
・ AST(GOT)とALT(GPT)は肝臓の細胞で作られる酵素で、アミノ酸をつくる働きを持っています。
・ いずれも肝臓の細胞に多く含まれますが、厳密にいえば、ASTは肝細胞と心筋、骨格筋、赤血球に多く含まれます。ALTは肝臓のみに含まれる酵素です。
・ 肝臓に何らかのダメージが加わって肝細胞が破壊されると、血液中にこのASTとALTが大量に放出されるため、血中濃度が上昇します。
・ このことから、ASTとALT濃度が上昇している場合、肝臓に炎症や障害が起きている可能性を意味しています。肝臓にダメージが生じ、働きが悪くなっていることがわかります。
・ そこで健康診断や人間ドックでは、血液中のASTとALTを同時に測定します。
・ ALTやASTが高い場合に原因として考えられる具体的な肝障害は以下の通りです。
1) 脂肪肝
2) 薬物性肝障害:特定の薬、サプリメントや栄養食品の副作用による
3) アルコール性肝障害
4) B型肝炎
5) C型肝炎
6) A型肝炎
7) E型肝炎
8) EBウイルス感染に伴う肝炎
9) サイトメガロウイルス感染に伴う肝炎
10) 自己免疫性肝炎
11) 原発性胆汁性胆管炎
12) 甲状腺機能異常
13) 肝硬変
14) 肝臓がん(原発性・転移性を含む)
・ 健診や人間ドックで肝機能異常を指摘された場合、精密検査などの必要性に応じて、当院のような肝臓専門医や消化器内科専門医に紹介されることがあります。
・ 精密検査では、血液検査、画像検査(エコー、CT、MRIなど)、場合によっては肝生検が行われる場合もあります。
・ 血液検査では、一度異常が認められた肝機能が改善しているか悪化しているかに加えて、肝炎ウイルスの有無や、その他の肝機能の検査、胆嚢に異常がないか、自己免疫性疾患がないかどうか免疫グロブリンや自己抗体の検査を行います。
・ 画像検査では、脂肪肝、胆石、肝硬変、肝臓がんの有無について画像によって確認します。当院では、まず腹部エコー検査を行います。
・ これらの検査によって、ALT上昇の原因を特定し、適切な治療法と方針を決定します。