健診でAST(GOT)やALT(GPT)が高いと指摘された場合:その2

・ 健診や人間ドックで肝機能検査として測定されているAST(GOT)やALT(GPT)に違いはあるのでしょうか。

・ ここでは、ASTとALTの違いについて少し細かい話をします。興味のある方はお読みください。

・ ASTは、心臓の筋肉である心筋、骨に付いていて体を支えたり動かしたりする筋肉である骨格筋、赤血球、そして肝臓に多く存在しています。

・ そのため、心臓、筋肉、肝臓に負担がかかり、その細胞が壊された場合に血液中に放出されます。

・ つまり、ASTの値が高いということは、心臓や筋肉、肝臓の病気である可能性が考えられます。

・ 肝細胞の破壊があればASTの値は上昇しますので、ASTはほぼすべての肝疾患で上昇します。

・ 一方、ALTは、肝臓に最も多く含まれているため、肝臓にダメージがある場合に値が上昇します。つまり、ALTの値が高いということは肝臓の病気である可能性が考えられます。

・ これらのことから、ASTのみが上昇している場合は、健康診断で肝機能異常と判定されたとしても、肝臓ではなく心臓や筋肉の病気である可能性もあります。ASTのみが上昇してALTが正常の場合は、肝臓の機能は保たれていると考えられます。

・ また、ALTはASTに比べて半減期が長く、ASTの3~4倍長く血中にとどまるため、ALTの上昇の程度よりASTの方が高い場合は、急性肝炎や急性肝障害などによって肝臓の細胞に急激なダメージが生じていることが考えられます。

・ 一方、ALTの上昇の方が大きい場合は、脂肪肝、慢性肝炎、肝硬変など肝臓への慢性的なダメージを引き起こす病気の存在が疑われます。

・ まとめると以下のようになります。

 1) ALTよりASTが高い場合:急性肝炎、アルコール性肝障害など。

 2) ASTよりALTが高い場合:脂肪肝、慢性肝炎、肝硬変など。

 3) ASTのみ高値の場合:心筋梗塞、筋肉痛、多発性筋炎、溶血性貧血など。

・ 「奈良宣言2023」について

・ 「奈良宣言2023」は第59回日本肝臓学会総会で採択されました。ALTがポイントになります。

・ この宣言は、一般的な健康診断でも肝機能検査として血液検査で広く測定されているALTを指標として、ALT>30であった場合、まずかかりつけ医を受診していただくというものです。

・ かかりつけ医によって、その原因が検索され、必要があれば消化器内科専門医や肝臓専門医で精密検査を受け、かかりつけ医と専門医の連携による肝臓疾患の早期発見・早期治療につなげることを目的としています。

・ 当院をかかりつけ医とされた場合は、消化器内科専門医・肝臓専門医であるため、肝臓疾患についてはワンストップとなります。お仕事で日々御多忙の方にとっては時間を合理的にお使いいただけると思います。

・健診や人間ドックでALT>30を指摘された場合は、ぜひ当院にご相談ください。

  

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