肝臓の働き:免疫
・ 肝臓には多くの機能がありますが、その中でも重要なもののひとつが「免疫」です。
・ 肝臓は、胃、小腸、大腸から体内に入ってきた大量の異物から身を守るためのいわば「防波堤」です。
・ 肝臓内には異物から体を守るための免疫細胞が多量に存在します。
・ 細菌やウイルス、真菌(カビ)といった異物の中には胃や腸をすり抜けて肝臓に到達してしまうものも多く、肝臓にはそうした異物を排除する免疫システムが備わっています。
・ 例えば、クッパー細胞は、組織内に入ってきた細菌やウイルス、真菌(カビ)を食べてしまう大細胞(マクロファージ)の一種ですが、全組織内のマクロファージの約80~90%は肝臓内に存在します。
・ がん細胞やウイルス感染した細胞を排除するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の免疫力も肝臓が最大とされています。
・ 胃や腸から侵入した異物だけでなく、気管から侵入して血液中に入ってきた異物も肝臓内の免疫細胞によって攻撃されて排除されます。
・ これだけの免疫システムがととのっていることから、肝臓は異物から体を守るためにきわめて重要な役割を担っていることがわかります。
・ 肝硬変や肝不全などで肝臓の免疫システムが低下すると、とたんに感染に対して弱くなってしまいます。
・ そこまで肝臓が弱ってしまうと、免疫システムが全く作動しなくなり、ほんの少しの細菌やウイルスが侵入しただけでも生命に危険が及ぶことになります。
・ 新型コロナウイルス感染症に関する報告では、肥満の方は普通の体重の方に比べて集中治療室(ICU)への入室率が高く、死亡率も高いというデータがあります。
・ 肥満の方には脂肪肝や肝機能障害を抱えている人が多いため、肝機能の低下が免疫力低下を招き、新型コロナウイルス感染の重症化の原因となっている可能性も十分に考えられます。