ピロリ菌治療の副作用
除菌療法の副作用は大きく以下の4つです。
1.軟便・下痢: 便がゆるくなったり、下痢を起こしたりすることがあります。
2.味覚異常: 食べ物の味をおかしいと感じたり、にが味や金属のような味を感じたりすることがあります。
3.AST(GOT)やALT(GOT)の変動: 肝臓の機能を表す検査値が変動することがあります。
4.アレルギー反応: 発疹やかゆみがあらわれることがあります。
2009年に発行された「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン」によると、一次除菌療法に伴う副作用が14.8~66.4%と報告されています。
最も多いものが下痢・軟便で約10~30%、味覚異常・舌炎・口内炎が5~15%(これらはクラリスロマイシンの副作用と考えられます)、皮疹2~5%、そのほか腹痛、放屁、腹鳴、便秘、頭痛、頭重感、肝機能障害、めまい、掻痒感などの報告があります。
下痢が心配な症例では、整腸剤を処方すると下痢を抑える効果あると報告されています。
また、2~5%に治療中止となるような副作用が発生しています。
高齢者における副作用頻度が特に高いという報告はありません。
二次除菌の副作用については、一次除菌よりも少なく、8~26%に認められます。
主なものは下痢で軽度の症状が多かったこと、服用中止に至った例ないし服薬アドヒアランスに影響が生じた例は1~5%に過ぎなかったことが報告されています。
除菌療法に成功した患者さんのうち、少数の方に逆流性食道炎の発生が報告されています。
逆流性食道炎は胃酸が頻繁に食道に逆流して食道の粘膜に炎症を引き起こす病気です。多くの場合、胸焼け、口の中まで酸っぱい水が上がる感じ(呑酸)などの自覚症状を伴います。