日本におけるB型肝炎ウイルス(HBV)感染の現状
日本では近年、海外型である遺伝子型A(ジェノタイプA)が性感染症として輸入され、短期間で全国に感染が拡散しています。成人になって感染すると慢性化しやすいと言われている遺伝子型A(ジェノタイプA)のB型肝炎ウイルス(HBV)の成人感染者が急増しており、その予防対策が緊急課題になっています。
現在、日本のB型急性肝炎の約50%は遺伝子型A(ジェノタイプA)のB型肝炎ウイルス(HBV)感染が原因であるとされています。そして、遺伝子型A(ジェノタイプA)のB型肝炎ウイルス(HBV)は、成人でも約10%は持続感染することが知られています。
さらに、成人から家庭内感染によって小児に感染するケースも報告されており、性感染と考えられていた遺伝子型A(ジェノタイプA)のB型肝炎ウイルス(HBV)感染はあらゆる年齢層に拡散していると考えられています。
B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアである身近な家族から小児への水平感染が確認されています。
近年、唾液、汗、涙などの体液が感染源になることがわかってきており、B型肝炎ウイルス(HBV)集団感染や家族内感染などの水平感染が、小児の日常生活の中で起こっている可能性があります。
このような状況下、父子感染や祖父孫感染をはじめとする家族内感染が重要視されるようになっています。
日本では母子感染防止に力を入れて大きな成果をあげましたが、一方でこの予防措置からはずれるケースも多く、また、若年成人を中心に現在も年間6000人以上の新規感染者がいると推計されています。
このようにB型肝炎は母子感染予防だけで制御できない現状があり、水平感染を視野に入れた感染防止対策が求められてきました。
父子感染に関しては、父親がB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアだと約25%に感染がみられ、約10%がB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアになるといわれています。