B型肝炎ウイルス(HBV)の遺伝子型(ジェノタイプ)
B型肝炎ウイルス(HBV)の遺伝子型(ジェノタイプ)は、A型からJ型まで少なくとも10種類の型があります。この遺伝子型(ジェノタイプ)には、地域特異性があり、慢性化率など臨床経過に違いがあることがわかっています。
日本全国複数施設の共同研究により解析可能であった720例のB型肝炎ウイルス(HBV)遺伝子型(ジェノタイプ)の分布状況は
HBV/C(ジェノタイプC) 約85%
HBV/B(ジェノタイプB) 約12%
HBV/A(ジェノタイプA) 約2%
このうち遺伝子型A(ジェノタイプA)はAa(アジア・アフリカ型)とAe(欧米型)に分かれますが、1995年以降、日本では稀だった欧米型HBV/Aeの割合が増加しています。
遺伝子型A(ジェノタイプA)によるB型急性肝炎の肝障害の程度は遺伝子型C(ジェノタイプC)と比較して軽いのですが、HBs抗原消失までの期間が長く、遺伝子型Aの慢性化率は遺伝子型Cと比較して高くなる傾向があることが報告されています。
B型肝炎ウイルス(HBV)には4種類の血清型(主要サブタイプadr、adw、ayr、arw)がありますが、異なる血清型で交差免疫が成立することがチンパンジーを用いた動物実験などで観察されており、2つの国産B型肝炎ワクチンは、異なる血清型や遺伝子型が異なるB型肝炎ウイルス(HBV)にも効果があると考えられています。