世界と日本のB型肝炎ウイルス(HBV)感染予防対策

① 世界の対策

世界保健機構(WHO)はB型肝炎ウイルス(HBV)感染を撲滅するため、そしてB型肝炎ウイルス(HBV)に関連した肝硬変・肝がんを減少させるため、世界規模でのB型肝炎ウイルス(HBV)感染のコントロールを目指して1992年から全世界の国々がユニバーサルワクチネーション(UV)を実施するように呼びかけてきました。

 

UVとは、全出生児を対象に公費でB型肝炎(HB)ワクチンを接種することです。

 

B型肝炎ウイルス(HBV)は感染力の強いウイルスであり、全世界で3.5人に1人の割合で感染もしくは感染既往があると考えられています。

 

2014年の時点では、WHO加盟国193カ国中、185カ国(96%)がUVを行っています。

 

接種率80~90%のUVを達成した国では、B型急性肝炎の減少が報告されています。

 

なお、後述するように日本では2016年10月からUVが始まっています。

 

② 日本のB型肝炎ウイルス(HBV)感染予防対策の経緯

日本において1985年6月から開始された母子感染防止対策事業として、全ての妊婦のHBs抗原検査、HBs抗原陽性妊婦に対するHBe抗原検査が開始されました。

 

1986年には、B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアから生まれる児を対象として、公費によるHBs抗原検査、B型肝炎ワクチン接種および抗HBs抗原免疫グロブリン(HBIG)投与を始めました。

 

1995年にはHBs抗原陽性妊婦に対するHBe抗原検査、HBs抗原陽性妊婦から出生した児に対するHBs抗原検査、B型肝炎ワクチン接種およびHBIG投与は健康保険給付の対象になりました。

 

1986年から1995年までの約10年間で短期的な感染予防効果は約95%であり、残りの約5%がB型肝炎キャリア化することがわかりました。それ以外の感染は水平感染ということになります。

 

水平感染について具体的に言えば、母子感染以外の家庭内感染(父子感染、祖父母などの同居者からの感染)、保育園等での施設内集団感染、成人の性感染があります。

 

具体的な感染経路を挙げると、血液だけではなく、唾液・汗・涙・尿などの体液や排泄液の中にB型肝炎ウイルス(HBV)が存在していることがわかっています。

 

B型肝炎ウイルス(HBV)キャリア妊婦から出生した児にB型肝炎免疫グロブリン(HBIG)を投与する方法を用いてきたわが国以外の全ての国と地域は、出生直後にHBIGとB型肝炎ワクチンを接種しており、その有効性は確立されています。

 

日本では2013年から、HBs抗原陽性の母親から出生した児に対して、出生後12時間以内のHBIGとB型肝炎(HB)ワクチン接種ができるようになりました。

 

父子感染については、父親がB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアである場合、約25%に感染が認められ、約10%がB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアになることが知られています。

 

母子感染とは違って、男性は父親になってもB型肝炎ウイルス(HBV)のスクリーニングをされないので現時点では父子感染に対する対策はとられてきませんでした。

 

さらに言えば、保育園など集団生活の場での水平感染を証明することは極めて困難です。

 

しかしながら、父子感染や集団生活での水平感染予防を目的にB型肝炎ワクチン接種を希望する乳幼児が増えていた現状もあり、2016年10月から日本でもユニバーサル・ワクチネーション(UV)、すなわちB型肝炎ワクチンの定期接種が実施されるようになりました。

 

B型肝炎ワクチンの定期接種については別項で詳しく述べます。

 

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