一度HBs抗体が獲得できた場合のHBs抗体価の確認やワクチンの再接種
日本では、厚生労働省が「B型肝炎について(一般的なQ&A)」(平成26年7月改訂)の中で、1年に1回程度の頻度で免疫が持続していること(HBs抗体陽性であること)を確かめ、HBs抗体が陰性化していることがわかった場合には、B型肝炎ワクチンの追加接種を受けておくことを推奨しています。
これに対して時間経過によるHBs抗体価の低下にかかわらず、ワクチンの効果は持続するため、欧米では追加のワクチン接種は不要であるとの勧告が出されています。
3回接種でHBs抗体ができても、一生続くことはありません。献血者を対象とした成績では、HBs抗体価が低い場合、発症はしないものの感染そのものは成立する可能性があると報告されています。このため、家族にB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアがいる場合などは、追加接種を考慮する場合もあります。特にB型肝炎ウイルス量(HBV-DNA量)が高値である場合は注意が必要です。
しかしながら、一度HBs抗体を獲得した人がB型肝炎ウイルス(HBV)陽性血液に曝露されても急性のB型肝炎の発症が認められないことや、HBs抗体を獲得すると20年以上にわたって急性肝炎や慢性のB型肝炎の発症予防効果が認められていることから、経時的なHBs抗体価測定や追加接種の必要はないという考えもあります。
世界的には、抗体陰性となった場合の追加接種が推奨されているのは血液透析を受けている人のみです。透析以外の理由で免疫抑制状態にある人については検討が不十分であり、こうした人に対して追加接種を行う臨床試験が行われています。