甲状腺機能亢進症の治療

甲状腺機能亢進症の治療

甲状腺機能亢進症の症状が強い場合、安静を指示します。

夏など気温が高い場合は、部屋を涼しくします。
症状の軽減にβ遮断薬は有効です。心拍数管理目的ならばβ1選択性の薬剤を使います。
振戦やイライラなど交感神経症状が強い時は非選択性のプロプラノール塩酸塩(インデラル®)を使います。その際、喘息がないことを確認しています。
β遮断薬が使えず、心拍数コントロールが必要な時はベラパミル塩酸塩(ワソラン®など)やジルチアゼム塩酸塩(ヘルベッサー®など)のカルシウム拮抗薬を経口で使います。
甲状腺薬(チアマゾール(メルカゾール®)とプロピルチオウラシル)は低頻度ですが重篤な副作用を起こすため、必要のない患者さんに投与しないように原因診断をつけてから使用します。

バセドウ病の管理・治療の目標(3段階)
  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の症状の緩和
  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)から脱却して甲状腺機能を正常に保つ
  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の治癒・寛解

 

バセドウ病の治療には薬物療法、放射性ヨード内用療法、手術の3方法があります。
それぞれ長所と短所があり、患者さんの特徴や価値観を含めて総合的に治療法を選択します。
甲状腺機能亢進症が重度の場合、後2者では術前にある程度機能を安定させる必要があり、まずは薬物療法を行うことがほとんどです。

抗甲状腺薬の種類
  • チアマゾール(メルカゾール®)
  • プロピオチオウラシル(チウラジール®、プロパジール®)

 

治療効果、副作用の観点からチアマゾール(メルカゾール®)が第一選択薬として推奨されています。

ただし、チアマゾール(メルカゾール®)には特殊な奇形との関連が推定されているため、妊娠初期には服用しないようにします。
投与当初は甲状腺機能を抑える十分量を投与して漸減していきます。
副作用は投与量に依存するので甲状腺機能亢進症が中等症以下の場合はチアマゾール(メルカゾール®)15μg/日かそれ以下から始めます。
肝障害を早期に発見して重篤化を防ぐために肝機能検査(総ビリルビン、AST、ALTなど)も行っています。
甲状腺機能検査は当初は1か月ごとに、安定してきたら薬物の減量に伴って検査の間隔をあけます。

抗甲状腺薬を2年服用して中止後1年の寛解率は50%弱です。
抗甲状腺薬を1日おきに1錠服薬することを半年以上継続した後で服薬を中止したものでは2年後の寛解率は70%との報告もあります。
ただし、抗TSH受容体抗体(TRAb)が陽性のまま中止すると再燃率が高くなります。
薬物療法では治療開始2~3年で寛解が全く望めないものでは、他の治療法に変更するか、そのまま薬物療法を続けるかを患者さんと一緒に検討します。
抗甲状腺薬治療にあたって最も注意すべきことは無顆粒球症です。抗甲状腺薬を投与開始する際には無顆粒球症について説明し、投薬開始時に3か月以内に発熱・咽頭痛時の服薬中止と医療機関受診を指示しています。
この間は2週間ごとに来院していただき、顆粒球の検査を行います。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では、薬剤を服用しながら正常機能が保たれていても、再燃の可能性があるために「治癒」とは言わず、「寛解」と呼びます。
薬物療法以外に放射性ヨード内用療法と手術療法があります。薬物療法で3年経過しても寛解が得られない場合はこれらの治療も検討します。
放射線内用療法や手術で甲状腺機能低下になるとバセドウ病は完治しますが、別の疾患(甲状腺機能低下症)を一生持つことになります。

妊娠初期や挙児希望の場合、授乳中はプロピルチオウラシルが使用されています。十分量で始めて漸減します。なお、このケースでは当院では専門医に紹介しています。
小児ではプロピルチオウラシルは重症肝障害のリスクがあり、禁忌です。
ヨウ化カリウムを併用すると早期に機能正常化が得られます。
プロピオチオウラシル(チウラジール®、プロパジール®)の初期投与量は通常300mg/日とされています。
軽症の場合はヨウ化カリウムのみで治療することもあります。

放射性ヨード療法と手術療法を行う事例
  • 副作用で薬物療法を行えない場合
  • 早期に治癒させたい場合
  • 薬物療法で寛解が得られない場合

 

治療するにあたり、将来、甲状腺機能低下症になる確率が高い治療法であることを説明します。
放射性ヨード内用療法は治療後に甲状腺細胞の破壊により甲状腺ホルモンが血中に放出されるので、甲状腺機能亢進症が重度の場合は危険であり、治療前に抗甲状腺薬で機能を低下させます。
活動性のバセドウ病眼症があると治療により悪化することがあるので、治療前にMRIで活動性眼症の有無を評価します。
妊婦・授乳中は禁忌で、半年以内に妊娠の可能性がある場合も行いません。
小児・若年者に関しては、日本甲状腺学会の「バセドウ病治療ガイドライン」では、対象を19歳以上とし、15~18歳ではどうしても必要な場合に限定しています。

亜急性甲状腺炎では炎症を抑えることが治療の中心となります。亜急性甲状腺炎は症状が強ければステロイド、弱ければNSAIDsを使用します。
無痛性甲状腺炎は経過観察します。無痛性甲状腺炎は時間が経てば治癒するため、症状の緩和が治療の中心となります。

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身体のことでお悩みでしたら、北区天神橋にある天神橋みやたけクリニックまで、まずはお気軽にお問い合わせください。

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