甲状腺機能低下症とは
甲状腺機能低下症はその大部分が甲状腺自体に原因がある原発性甲状腺機能低下症(橋本病)です。
手術や放射性ヨード内用療法など医原性のものや、ホルモン合成障害などの先天性のものや、ヨードの過剰摂取(海藻などの摂取)によるものを除くと、原因の多くは原発性甲状腺機能低下症(橋本病)です。
ただし、TSH(甲状腺刺激ホルモン)分泌不全による中枢性のものもあり、対応が異なる場合があるので橋本病以外の疾患を念頭に置いておく必要があります。
多くの薬剤により甲状腺機能低下症が引き起こされますが、その多くは自己免疫性の甲状腺疾患です。
甲状腺機能低下症の原因は複数存在します。
少し専門的になりますが、甲状腺ホルモンの分泌は視床下部~下垂体~甲状腺の内分泌ネットワークにより調節されています。
下垂体に異常がない場合、血中甲状腺ホルモンが多いとTSH(甲状腺刺激ホルモン)は抑制され、逆に甲状腺ホルモンが足りないとTSH(甲状腺刺激ホルモン)分泌が亢進します。
中枢性が原因の場合、このフィードバックシステムが働きません。
「当院の診療の流れ」でも説明したように、甲状腺疾患の病態を把握するためにはTSH(甲状腺刺激ホルモン)濃度は重要であり、通常は甲状腺ホルモン(FT4)と同時に測定します。
甲状腺ホルモン濃度が正常範囲内にありながら、TSH(甲状腺刺激ホルモン)が低値のものを潜在性甲状腺機能亢進症、TSH(甲状腺刺激ホルモン)が高値のものを潜在性甲状腺機能低下症と呼びます。