そもそもB型肝炎ウイルスとは何でしょう?
少し専門的な話になります。
B型肝炎ウイルスはヘパドナウイルス科に属する直径約40nmの球状DNAウイルスです。
非常に完成度の高いウイルスと考えられています。詳細については別に述べます。
B型肝炎ウイルス持続感染者は世界で約4億人と推定されています。
日本におけるB型肝炎ウイルス感染者は約1%とされています。
B型肝炎ウイルスは急性もしくは慢性肝炎の原因となります。
B型慢性肝炎患者の多くは肝硬変・肝癌へと移行します。
日本には約30万人のB型慢性肝炎患者さんが存在するとされています。
B型肝炎ウイルスに対するワクチンは今から30年以上前に開発されたため、新規感染は防御可能です。
しかしながら、B型慢性肝炎患者に対する治療法は次の2つです。
・ペグインターフェロンα(アルファ)
・核酸アナログ剤
これらの治療によってB型肝炎ウイルスが体内から排除される可能性は極めて低いのです。
この状況は、近年目覚ましい治療薬の発展を達成したC型慢性肝炎とは非常に対照的です。
B型肝炎ウイルス排除の難しさは、その独特な感染・複製システムに起因します。この点については、あらためて別に述べます。
同じウイルスでも、インフルエンザウイルスやHIVウイルスはウイルス自身に細胞傷害性があり、感染した細胞を破壊します。
B型肝炎ウイルスには細胞傷害性がないか、もしくはあっても軽度です。
B型肝炎における肝細胞障害は、主として感染細胞を排除しようとする宿主の免疫応答である細胞傷害性T細胞による細胞性免疫によって引き起こされます。
この他にも抗原特異的ヘルパーT細胞、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、ナチュラルキラーT細胞などの免疫細胞がB型肝炎に関係しています。